我々のこれまでの研究でIL-18/2を連日投与で間質性肺炎が誘導された(Blood2002)。特発性間質性肺炎(IPF)患者の肺病変部に著明なIL-18およびその受容体であるIL・18Rα鎖の発現著明に認められた(AJRCMB2005)。これらの研究結果はIL-18が肺障害を含む炎症性肺疾患の病因に重要な役割を果たすことが強く示唆される。そこで申請者らは恒常的発現肺特異的発現IL-18遺伝子改変マウス(TGマウス)をヒトサーファクタントプロモーターSPCを用いて樹立した。同時に、テトラサイクリンで誘導される肺特異的発現IL-18TGマウスを樹立した。前者は肺気腫が出来るにもかかわらず後者のTGマウスは間質性肺炎が誘導された。つまりIL-18の発現のタイミングや発現量で間質性肺炎が誘導されることが判明した。また、恒常的発現肺特異的発現IL-18TGマウスによる炎症細胞を伴った気腫化はIL-13依存性であった。また、このTGマウスは骨関節炎(OA)を発症しており、IL-18は全身病変を誘導した。同時にCOPD患者の肺病変部ではタバコ煙による持続する過剰な酸化ストレスがマクロファージやCD8陽性細胞からのIL-18の産生が増加させる。その結果、肺病変部に大量の炎症細胞のリクルートメントを誘導し慢性の強い炎症が持続する。その結果、肺胞機構が破綻されCOPDが発症することが示唆された。COPD患者では肺機能(%FEV1)の悪化と血清中のIL-18値が相関した。
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