研究課題
PD-1/PD-LはT細胞活性化の制御に関与する抑制性共刺激分子でCD28/B7ファミリーに属し、免疫バランスの維持に重要な働きを持ち、自己免疫疾患の病態に大きく関与している。また、C57BL/6背景PD-1ノックアウトマウスはループス様糸球体腎炎を発症し、ヒトにおいてもPD-1は全身性エリテマトーデス(SLE)の疾患感受性遺伝子の一つである。本研究ではSLEの腎病変(ループス腎炎)におけるPD-1/PD-L分子の関与を検証することを目的として、ループス腎炎患者の腎生検組織を用いた免疫染色で同分子の発現を検討した。まず、モノクローナル抗体の染色性を確認するために扁桃凍結切片を用いて酵素抗体法で染色を行った。その結果、PD-1、PD-L1、PD-L2いずれもリンパ濾胞内で発現を認めたが、PD-1とPD-Lの発現分布は異なっていた。また、PD-L1陽性細胞は、PD-L2陽性細胞の一部でのみ認められた。同様の方法でループス腎炎の腎生検検体の凍結切片を用いて同分子の発現を検討した。検体はクラスIII G(A)、IV G(A)、IV G(A/C)+Vの3症例ですべて未治療であった。その結果、いずれの検体も明らかな染色性は認められなかった。蛍光抗体法による検討も行ったが、発現は明らかにされなかった。これまでにSLEモデルマウスであるNZB/W F1マウス腎組織において浸潤白血球にPD-1およびPD-L1が発現し、糸球体内皮細胞と尿細管にPD-L1が強く発現することを確認しており、今後はループス腎炎組織において染色方法を再考し、症例数を増やし、更なる検討を行う予定である。また、シェーグレン症候群の間質性腎炎など他の膠原病に伴う腎病変についても検討していく。
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ページ: 114-119
Clin Rheumatol. Feb 12 Epub a head of print
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