1.PADI4の基質とシトルリン化タンパクの生理的機能の同定 フィブリノーゲンはRA患者の関節部位でシトルリン化されており、RAにおけるシトルリン化自己抗原の可能性が考えられる。そこで、RA関連遺伝子として我々が同定した、PADI4遺伝子と、そのファミリー遺伝子として知られているPADI2の基質としてフィブリノーゲンを確認し、それの修飾部位について、LC-MS/MSにより同定した。その結果、フィブリノーゲンα鎖、β鎖にはシトルリン化部位が数多く存在しており、γ鎖では確認できなかった。またα鎖にある16番目のアルギニン(R16)はトロンビンにより切断され、フィブリン形成がおこるのに重要である。そこで、良16がシトルリンに変換されることでトロンビンによる切断が見られなくなる可能性を考え、実験を行ったところ、R16のシトルリン化により、トロンビンによる切断は見られなくなることがわかった。さらに、シトルリン化フィブリノーゲンをフィブリノーゲンに一定の比率で混ぜて、阻害実験を行ったところ、特定の比率までシトルリン化フィブリノーゲンを混ぜることでトロンビンによるフィブリン形成が阻害された。今までシトルリン化は存在は明らかであったがその生理的意味は明確ではなかった。今回の研究によりフィブリン形成の阻害を生理的に行っている可能性が示唆された。 2.PADI4遺伝子改変マウスの作製 PADI4遺伝子ノックアウトマウスを作製した。PADI4遺伝子を欠失させ、その代りにネオマイシン遺伝子を導入し、PADI4ノックアウトマウスを作製した。遺伝的背景が129S1とB6の混合であるため、今後、コラーゲン誘導関節炎などに用いるため、遺伝的背景をB6に置き換えるため、スピードコンジェニックを行っている。
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