難治性小児固形腫瘍である神経芽腫に対する低毒性治療薬としてのレチノイン酸は、神経分化誘導・細胞増殖抑制・アポトーンス誘導といった作用を示す。この治療効果を増強する新規治療法を開発すべく各作用の分子機序を解析した。抗アポトーンス蛋白Bcl-2を阻害するとアポトーンスは増強し、分化誘導にはPI3K-Akt経路の活性化が重要である事が明らかとなった。またレチノイン酸によるPI3K-Aktの活性化には細胞膜上の神経栄養因子受容体Trk-Bの誘導が関与している事が示唆され、分子標的療法の重要な標的分子の一つと考えられた。
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