1)リジン尿性蛋白不耐症の遺伝子解析 本邦において、リジン尿性蛋白不耐症(以下、LPI)が疑われ、主治医が希望された症例に関し、主治医を経由してご本人または保護者に同意を得た上で、責任遺伝子の解析を行い、変異の有無を確認した。 遺伝子解析方法は、報告者らが以前に報告した論文(Noguchi A et al.Human Mutation 2000;15(4):367・72)の手法に準じた。 その結果、本年度に解析を行った症例で同定された変異はすべて既報の変異と同一であり、地域集積性および、日本人特有の遺伝的異質性が再確認された。 一方、LPIに合致する臨床経過と検査所見を呈するにも関わらず、全エクソンおよびエクソン・イントロン境界部の塩基配列、加えてmRNAレベルでの遺伝子構造に異常のない症例が2例確認された。 2)臨床アンケート調査: 当初、臨床上LPIと診断された症例をもとにアンケート調査を行う予定であったが、上述のように必ずしも本遺伝子に変異があるとは限らないことから、本年度は変異の同定された症例に限って臨床調査を行った。 具体的には、患者の性別、生年月日、発症年齢、臨床症状(小児期の高アンモニア血症発作、成長・栄養状態、成人期の腎症状、肺症状、免疫異常、骨症状など)、診断内容、治療内容などにっき、主治医にご回答を頂いた。希少疾患であり症例数が少ないことから現時点で統計学的に評価するには困難があるが、今後も症例の蓄積を重ねて行く。
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