研究概要 |
昨年度、臍帯血NK細胞にて、MLL遺伝子再構成陽性ALL細胞に対してNK細胞の抑制型レセプターKIRs (killer cell Ig-like receptors)のligandであるHLA-C抗原のグループ(C1, C2)のdonor/recipient間の不一致により、alloreactivityが発揮されることを示した。今年度は、NK細胞のMLL遺伝子再構成陽性ALL細胞株に対する傷害活性機構の解明のため、成人末梢血NK細胞を用いて活性型NKレセプターであるNKG2D, NCR(natural cytotoxic receptors), DNAM1のblocking実験を施行したが、いずれも傷害活性の抑制効果は証明できなかった。また、NK細胞のlicensing機構の確認のため、NK細胞をKIR(CD158a, CD158b)の発現種類別に4群に分け、CD107a mobilization assayを用いて傷害活性を比較した。成人末梢血NK細胞ではHLA-C1C1型ALL細胞株に対して、C1C1型NK細胞ではCD158a(ligand ; C2)陽性NK細胞ではKIR ligand不一致があるにも関わらずlicensingを受けていないため傷害活性をほとんど認めなかったが、一方C1C2型NK細胞では、KIR ligand不一致を有するCD158a陽性NK細胞はlicensingを受けており明らかに傷害活性が高かった。この結果からdonor/recipient間のKIR ligand不一致NK細胞分画の傷害活性の差が、実際に傷害活性の増強に関与していることが証明された。臍帯血NK細胞においても、同様のlicensing機構が成立しているのか現在検討中である。今後は、NK細胞傷害活性機構の解明及び、IL2等による傷害活性の増強、in vivoでの検討等が必要であると考える。
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