研究概要 |
マウス胚性幹細胞細胞から神経幹細胞への無血清培養条件下で分化誘導システムを確立したことから、本システムがヒト胚性幹細胞からの神経幹細胞作製に応用出来るかを評価するべく実験を行なった。ヒト胚性幹細胞での分化誘導では効率良く分化誘導する事が出来ず、その問題点について検討を行なっているところである。新生児マウスの精巣より生成したMGS)細胞を用いて神経幹細胞分化誘導の基盤研究を行なった。シスタチンCを用いる事によって無血清培養条件で細胞塊(sphere)を効率良く形成する事ができた。またその形成されたsphereは神経幹細胞の特徴である多分化能(中枢神経を構成するNeuron, Astrocyte, Oligodendrocyteの3系統)と自己増幅能を示した。本方法で作製したMGS細胞由来の神経幹細胞の遺伝子発現パターンの解析を行なったところ、ES細胞のような未分化細胞に特異的な遺伝子マーカーであるRex1, Oct4などの発現はなく、神経幹細胞に特異的な遺伝子マーカーであるNestin, Mash1などの発現が認められた。この事から、無血清下培養条件下でシスタチンCを用いた本システムによってMGS細胞から効率良く神経幹細胞へ分化誘導することが確認出来た、MGS細胞は遺伝子操作を用いずに作製されているという点、体性幹細胞を用いていることから、将来的な移植治療において拒絶という問題点を回避出来るという点で非常に優れたツールである。現在、このMGS細胞由来の神経幹細胞を用いて、パーキンソンモデルマウス、脊髄損傷モデルマウスへの移植実験を準備中である。
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