研究概要 |
小児悪性腫瘍の細胞生物学的特徴や担癌患児自身における正常細胞がもつ抗腫瘍作用、および患児の予後との関連を検討し、これら多因子に加え従来から知られている予後因子を組み合わせて解析することにより、新たな予後因子を解明した。 方法 : 対象は1994年〜2008年までに当科にて加療をうけた小児ALL患者48例、血清 : SR群24例 (うち3例再発) 、HR群24例 (うち8例再発) 、cDNA : SR群11例 (うち1例再発) 、HR群19例 (うち5例再発) BD Cytometoric Bead Array System (CBA) により初発時血清中サイトカイン (IL-8, RANTES, MIG, MCP-1, IP-10, IL-1β, IL-6, IL-10, TNF, IL-12計10項目) およびRT-PCRによる初発時骨髄cDNA遺伝子定量としてMIG, IL-6, TNFの計3項目を測定した。さらにALLSRとHR患者における初発時血清中サイトカイン発現を、マンホイットニーにて発現の程度で2群に分け、leukemia free survivalでもって検討した (ログランク検定) 。さらに、初発時骨髄白血病細胞cDNAにおける遺伝子発現解析、サイトカイン発現との関連性の解析を施行した (ピアソンの相関解析) 。また、ALLSRとHR患者における骨髄白血病細胞cDNA遺伝子発現の比較を施行した (マンホイットニー) 。そして発現の程度で2群に分け、leukemia free survivalを検討 (ログランク検定) した。結果 : ALL初診時血清サイトカインMIG、IL-6、TNFの3分子の発現の程度で2群に分けた検討において、これらの発現が高い群においてleukemia free survivalが有意に低い、という結果が得られた。初発時骨髄におけるこれらの遺伝子発現とは相関はみられなかった。患者正常細胞 (樹状細胞、T細胞、単球・マクロファージ、NK細胞、NKT細胞) によるサイトカイン発現が予後を規定している可能性が示唆される。 ALL ; acute lymphoblastic leukemia, SR ; standardrisk, HR ; highrisk
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