研究概要 |
4遺伝子の5多型(IL6-572C/T,IL8-251A/T,TNFA-1037C/T,IL10-1082A/G,-592A/C)について、熱性けいれん患者249名(単純型孤発例118名、単純型家族例68名、複雑型63名)と健常対照225名について、TaqMan SNP Genotyping Assayを用いて遺伝子型を決定し、カイ二乗検定で関連解析を行った。IL10-592CアレルおよびIL10-1082A-592Cハプロタイプの頻度が熱性けいれん群で有意に少なかった(それぞれp=0.013,p=0.014)。IL10遺伝子プロモーターA-Cハプロタイプはプロモーター活性が高いとされ、様々な疾患で有意な相関が報告されている。A-Cハプロタイプが熱性けいれん患者で有意に少ないことから、熱性けいれん感受性を減弱することが示唆された。IL-10の中枢神経に対する作用は十分に知られていないが、けいれん閾値を上げる可能性がある。 ウイルス核酸の受容体であるToll-like receptor(TLR)3、TLR7、TLR9とこれらの機能を制御しているUNC93B1について、熱性けいれん発症との関連を明らかにするため、-塩基多型(SNP)を用いて患者対照研究を行った。UNC93B1のintron7にあるrs308328において、熱性けいれん患者のGアレルの頻度(36.8%)が対照(29.7%)と比べ有意に高かった(p=0.02)。UNC93B1遺伝子が熱性けいれん特に複雑型に関連することが示唆された。UNC93B1は家族性単純ヘルペス脳炎の原因遺伝子であることが最近報告されており、ウイルスの直接侵襲による炎症性病変が、熱性けいれん特に複雑型の病態に関与している可能性がある。
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