本研究は、日本人におけるPD-1、PD-L1、PD-L2各遺伝子多型頻度を明らかにすること、各多型内の連鎖不均衡を検討すること、日本人1型糖尿病患者におけるPD-1、PD-L1、PD-L2各遺伝子の遺伝子多型頻度を解析し、1型糖尿病との疾患関連解析を行うこと、また関連性の見出されたハプロタイプについて、その機能解析を行うことを目的としている。我々はこれまでに小児1型糖尿病患者集団、全身性エリテマトーデス患者集団と健常コントロール集団間で各分子の発現量を検討し、その結果、1型糖尿病患者の末梢血CD4陽性T細胞において、他の2群に比べ、T細胞活性化を抑制する補助シグナル分子であるPD-1遺伝子の発現量が有意に低下していることを報告している。平成19年度には日本人集団におけるPD-1遺伝子、ならびにそのリガンドであるPD-L1遺伝子とPD-L2遺伝子の遺伝子多型を見出し、日本人におけるPD-1、PD-L1、PD-L2各遺伝子の遺伝子多型頻度を明らかにした。そして得られた遺伝子型データを利用して、PD-1遺伝子のハプロタイプが日本人の小児I型糖尿病の病態に関与していることを報告している。その後、遺伝子多型機能変化の推定やルシフェラーゼ解析を用いて、疾患感受性ハプロタイプにおける機能的意義の解析を試みたが有意な結果が得られなかった。
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