研究概要 |
1.川崎病(CAWS誘発動脈炎)モデルマウスの作成 C57B6/L(5week)にCandida albicans菌体外多糖画分(以下CAWS)を4mg/day、5日間腹腔内に投与し川崎病モデルマウスを作成した。CAWS投与後5週目に病理組織学的評価を行い川崎病類似の汎動脈炎が惹起されていることを確認した。 2.川崎病モデルマウスにおける血中VEGFおよびTNFα濃度測定 マウス血漿中VEGF、TNFαをELISA法(Quontikine,R&Dsystems)によりCAWS投与前後(-5、0、10、35日目)に測定した。VEGFは-5日目:15-24pg/ml、0日目:40-45pg/ml、10日目:12-23pg/ml、35日目:20-26日目pg/mlとCAWS投与直後に上昇しその後漸減する経過であった。一方、TNFαは0日目:感度以下、10日目:62±30pg/ml、35日目:感度以下であり、CAWS投与後5-10日にピークとなりその後漸減する経過であった。 3.抗VEGF-A抗体あるいは抗TNFα抗体を投与して動脈炎の病理組織学的変化を検討 抗VEGF-A抗体(Rabit polyclonal,LAB VSION Corporation)あるいは抗TNFα抗体(Goat polyclonal R&D systems)を腹腔内投および浸透圧ポンプを用い、CAWS与終了後から1週間かけて計300μgの持続投与を行った。抗VEGF-A抗体投与群(n=7)および抗TNFα抗体投与群(n=7)は無投与群(n=8)を病理組織学的に検討した。病理組織学的検討の手法としては、EVG染色により弾性線維障害の程度と内膜肥厚の程度、およびHE染色Iより炎症細胞浸潤の程度をスコア化した。動脈炎スコアはそれそれ、無投与群11.4±0.3、抗VEGF-A坑体9.4±0.6、抗TNFα抗体3.4±1.6であり、抗VEGF-A抗体投与群および抗TNFα抗体投与群共に無投与群と比べて動脈炎発症の抑制が認められ(各p=0.002、p=0.018)、さらに抗TNFα抗体投与群において抑制効果が有意に高かった(p=0.025)。
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