研究概要 |
当大学関連病院の新生児集中治療室に入院となった出生体重1,500g以下の極低出生体重児24例について生後1-2日、7日、14日、28日に採尿を行った。まず、症例を子宮内胎児発育遅延(IUGR)の有無で2群(AGA:Appropriate for gestational age=IUGRなし、SGA:Small for gestational age=IUGRあり)に分け、生体のDNA酸化障害のマーカーである尿中8-hydroxideoxiguanosine(8-OHdG)を市販のELISA-kit(8-OHdGチェック:日本老化制御研究所)にて測定した。また、尿中クレアチニン濃度測定を同時に行い、8-OHdG濃度をクレアチニン値で補正した。その結果、生後1-2日の8-OHdG排泄(mg/ng・Cr)は両群間に有意差を認めなかった。AGA群では各ポイント間で有意差を認めなかったのに対し、SGA群では生後7日、14日目の尿中8-OHdG排泄が生後1-2日および28日目に比べ有意に高値を示し、AGA群との間にも有意差を認めた。IUGRを伴う極低出生体重児では伴わない児に比べ、生後7日、14日目の尿中DNA酸化障害レベルが高値、つまり生体の酸化ストレスレベルが高値であることが示された。対象は全例遺伝子組み換えヒト・エリスロポイエチン製剤の投与を受けており、今後同製剤と酸化ストレスレベルおよび合併症との関連について検討していく予定である。
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