研究概要 |
当大学関連病院の新生児集中治療室に入院となった出生体重1, 500g以下の極低出生体重児を対象とし、未熟児貧血治療目的で日齢10未満よりエリスロポイエチンを開始した早期群および日齢20以降よりエリスロポイエチンを開始した後期群の2群に分類した。生後1-2日、7日、14日、28日に採尿を行い尿中8-hydroxideoxiguanosine(8-OHdG : 生体のDNA酸化障害のマーカー)およびmalondialdehyde(MDA : 生体の脂質過酸化のマーカー)を測定、また尿中クレアチニン濃度測定を同時に行い尿中8-OHdGおよびMDA排泄をクレアチニン補正値で表した。その結果、後期群では早期群に比べ尿中8-OHdGおよびMDA排泄はともに低い傾向にあったが、各測定ポイントにおいて両群間に有意差を認めなかった。早期群、後期群ともに各測定ポイント間での尿中8-OHdGおよびMDA排泄の有意な変動は認めなかった。頭蓋内出血、壊死性腸炎、慢性肺疾患および未熟児網膜症などの酸化ストレス関連疾患の発症に有意差を認めなかった。今回の検討では極低出生体重児に対する早期エリスロポイエチン投与による抗酸化作用は認めなかったが、今後は酸化ストレス軽減を目的とした日齢5未満の超早期開始群での検討を計画している。
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