電位依存性ナトリウムチャネルα1サブユニット(SCNIA)遺伝子は、乳児重症ミオクロニーてんかんの責任遺伝子である。申請者は、SCNIA遺伝子突然変異によるParvalbumin陽性インターニューロンの異常発火が抑制性神経回路の障害を生じ、結果、けいれん発作が生じると考えている。本研究の目的は、Parvalbumin陽性インターニューロン特異的にSCNIA遺伝子を破壊したマウスがてんかんを呈するか検討することであった。 今年度は、SCNIA(ホモ接合体flox)マウスを作製した。ホモ接合体floxマウスの見た目は正常で、ナトリウムチャネルα1の発現量にも異常はなかった。当初、本研究課題では、Parvalbumin陽性インターニューロン特異的Cre-recombinase発現マウスを入手する予定にしていたが、諸般の事情により、まだ入手できいない。代替として、Parvalbumin陽性インターニューロンを含む複数種のインターニューロンでCre-recombinaseを発現するマウスを入手し、SCNIA(ホモ接合体flox)マウスと交配した。これまでに32匹のインターニューロンCre;SCN1A(ヘテロ接合体flox)マウスが得られ、内31匹が生後一ヶ月までに死亡した。また、3匹にけいれん発作を認め、内1匹はけいれん発作中に死亡した。以上の結果は、SCNIA遺伝子変異を原因とするてんかんの発症機構がインターニューロンの機能不全であることを支持した。
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