研究概要 |
今回用いた子宮内膜細胞は既にテロメラーゼ逆転写酵素サブユニット(TERT)遺伝子を導入して細胞寿命を延長したものである。細胞の寿命を延長することにより、従来、不十分であった移植に必要な細胞量の確保が可能になった。また、寿命延長した細胞の細胞分裂回数の増加に伴って、染色体に異常が生じるかを調べた。このことは、細胞移植した細胞が将来的にガン化する可能性があるか否かを検討する上で重要である。 間葉系幹細胞は自己複製能と、骨格筋・軟骨・骨・脂肪・ストローマ細胞などの間葉系細胞への多分化能を有する体性幹細胞である。現時点では間葉系幹細胞を規定するための特定のマーカー分子が充分に同定されておらず、細胞移植のみならず、再生医療の現場で実際に用いられる細胞を調製する上で、間葉系幹細胞の定義付けを行うことは重要である。次に、細胞のプロファイリングを行うため、フローサイトメトリーを用いて、ヒト骨髄間葉系細胞の表面マーカー; CD14, CD29, CD31(PECAM-1), CD34, CD44(Pgp-1/1y-24), CD45(leukocyte common antigen), CD50(ICAM-3), CDw90(Thy-1), CD105(endoglin), CD117(c-kit), CD140a(PDGFR), CD166の発現の検討を行なった。 次に、in vitroにおける骨格筋分化の検討では、5-azacytidine(5mM)で24時間前処理により子宮内膜細胞、Amniotic mesoderm-derived cells(AMDC)、胎盤由来細胞の骨格筋の初期、後期マーカー発現を確認した。さらに、子宮内膜細胞、AMDC、胎盤由来細胞の骨格筋細胞への分化を確認するため、mdx/scidマウスを用いた移植細胞の骨格筋再生能を検討した。その結果、マウス骨格筋中にヒト・ジストロフィンの発現を確認した。
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