研究概要 |
1, ラット卵巣動静脈結紮による子宮内発育遅延モデル作成 妊娠17日目に、エーテル麻酔下片側卵巣動静脈結紮を施行し、妊娠20日目に安楽死後胎仔を摘出し、結紮側と非結紮側で比較した。新生仔体重は、結紮側で平均3.19±0.21、非結紮側で3.42±013で、結紮側で有意に体重が小さくなっていた。胎盤重量は、結紮側で0.50±0.02、非結紮側で0.49±0.03で差はなかった。胎盤の組織学的検索は現在進行中である。これにより、卵巣動静脈結紮で、妊娠後半子宮内発育遅延モデルが作成されることが確認された 2, 両側卵巣動静脈結紮群と非結紮群での20生日目での血管反応性の比較 妊娠17日目にエーテル麻酔下両側卵巣動静脈結紮を施行。出生後、20日目に安楽死後大腿動脈を摘出し、wire-myographを使用して血管作動物質に対する反応を比較した。カリウム、ノルアドレナリン(NA)、U46619(トンロンボキサンA2類似物質)添加時の最大収縮に差は認めなかったが、U46619添加時のpEC50は、結紮群で有意に低かった。またNA添加時のpEC10も結紮群で有意に低かった。濃度-収縮曲線では、高濃度NA添加時の血管拡張は結紮群で消失していた。アセチルコリン、sodium nitroprusside添加時の血管反応に差は見られなかった。前収縮後のNA添加による血管拡張は、結紮群で低下していた。 これにより、卵巣動静脈結紮による子宮内発育遅延ラット新生仔では、正常発育新生仔ラットと比較して異なる血管反応を示す可能性が示唆された。
|