妊娠17日目のウイスターラット卵巣動静脈結紮による子宮内発育遅延群を作成した。非結紮(コントロール)群とともに、生後20日、90日目に、体重計測、血圧測定、様々な血管作動物質による血管反応性について、両群で比較した。生後20日目では、発育遅延群で有意に体重の減少を認めたが、90日目では両群間での体重に有意な差はなかった。吸入麻酔下の大腿動脈圧測定では、90生日目での発育遅延群で血圧の上昇を認めた。 20生日目、90生日目に安楽死後大腿動脈を摘出し、wire-myographを用いて血管作動物質による血管反応性を計測した。20生日目では、カリウム(K)、ノルアドレナリン(NA)、U46619(トロンボキサンA2類似物質)添加による血管の最大収縮値には差がなかったが、U46619添加時のpEC50は発育遅延群で低下していた。90生日目では、K、U46619添加による最大収縮に差はなかったが、NAによる最大収縮は発育遅延群で大きくなっていた。濃度-収縮曲線では、20生日目及び90生日目とも高濃度NA添加時の血管拡張反応が、発育遅延群で消失していた。アセチルコリン、sodium nitropmsside添加による血管拡張反応は両群で差はなかった。U46619による前収縮後のNA添加による血管拡張反応は、20生日目及び90生日目ともに発育遅延群で低下しており、90生日目でその傾向が著明であった。 これにより、卵巣動静脈結紮による発育遅延ラットモデルでは、正常発育群と血管反応が異なり、特にNAによる血管反応において特徴的な変化を示すことが発見された。
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