DiGeorge症候群(DGS)/円錐動脈幹異常顔貌症候群(CAFS)は22q11.2領域微小欠失に起因した胎生期の臓器形成に異常が生じる症候群である。同一領域の欠失を有する患者間でも症状に大きな差があるなど、作用機序の解明は進んでいない。DFCR8はDGS/CAFS欠失領域に存在しており、さらに最近miRNA成熟化因子であることが判明した。本研究では、発生初期の観察に適したモデル生物"メダカ"と、申請者が作製したDGCR8ノックアウトマウスを用いて、発生過程にてDGCR8が果たす役割を検証した。 ・DGCR8ノックアウトマウスにおける遺伝子発現解析 LacZ遺伝子をDGCR8遺伝子の開始コドンより下流に挿入することで作製したDGCR8ノックアウトマウスはホモ欠失個体における出生が認められなかった。ヘテロ欠失個体同士の交配後、各発生段階における胚を採取し、LacZ染色後ジェノタイピングを行うことで、ホモ欠失個体について胎生5.5〜6日齢前後での致死が認められたため、早期初期胚のin vitro培養を試み、DGCR8の発現部位を観察した。また、各発生段階の胚および新生仔からmRNAを採取・調製し、リアルタイムPCR法を用いたDGCR8欠損による遺伝子発現量を検討した。 ・メダカにおける遺伝子発現解析 メダカDGCR8遺伝子の5'非翻訳領域のクローニングを行い、GFP遺伝子を結合したキメラDNAを作製し、メダカ受精卵に注入後、発生過程における遺伝子の発現部位の観察を試みた。 ・モルフォリノオリゴDNA(MO)を用いたノックダウンメダカの作製 DGCR8メダカの相同遺伝子をMOノックダウンし、発生過程における表現型に及ぼす影響を検討したところ、頭部形成および循環器形成の異常が認められた。
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