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2008 年度 実績報告書

胎児栄養膜細胞の分化・浸潤における微小管制御因子スタスミンの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 19790763
研究機関東京薬科大学

研究代表者

吉江 幹浩  東京薬科大学, 薬学部, 助教 (50434014)

キーワードスタスミン / 胎盤 / 栄養膜細胞
研究概要

胎児由来栄養膜細胞は、子宮内膜の脱落膜組織中のらせん動脈血管内皮に浸潤し、胎児・母体間での物質交換を開始する。この浸潤過程の異常は、妊娠高血圧症などの病態と密接に関連することが知られている。今年度は、栄養膜細胞の浸潤における微小管動態調節因子スタスミンの役割について解析した。なお、栄養膜細胞の浸潤を評価するためのモデルとして、トランスウェルのフィルター上に脱落膜細胞を播種した系を作製した。本実験進行中に同様のモデルが、他の研究グループからも発表された(Spessotto et al., 2006J Cell Sci. 119 : 4574)。絨毛癌細胞株(BeWo、JEG-3)、絨毛外栄養膜細胞株(HTR-8/SVneo)、妊娠初期の絨毛組織より単離した栄養膜細胞におけるスタスミン発現をsiRNAにてノックダウンし、浸潤への影響について検討したところ、コントロールsiRNAを処置した対照群と比較して、スタスミン発現の抑制によりこれら用いた全ての細胞の浸潤が抑制された。栄養膜細胞では、ゲラチナーゼ活性を有するメタロマトリックスプロテナーゼ(MMP)-2、-9が子宮内膜への浸潤に関与していることを示唆する報告があるため、スタスミン発現抑制時の培養メディウム中のMMP-2及びMMP-9の活性をゲラチンザイモグラフィー法により検討したが、スタスミンのノックダウンは、これら細胞のMMP-2、-9活性に対して影響しなかった。また、BeWo、JEG-3、HTR-8/SVneo細胞の増殖に対するスタスミンノックダウンの影響について検討したところ、上記の浸潤アッセイと比較するとその作用は弱いものの、有意な細胞増殖の抑制効果がみられた。以上より、ヒト栄養膜細胞に発現するスタスミンは、胎盤形成に不可欠な栄養膜細胞の浸潤、増殖および、前年度明らかにしたようにシンシチオトロホブラストへの分化に関与する因子であることが明らかとなった。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Expression of stathmin, a microtubule regulatory protein, is associated with the mieration and differentiation of cultured early trophoblasts2008

    • 著者名/発表者名
      Yoshie M, Kashima H, Bessho T, Takeichi M, Isaka K, Tamura K.
    • 雑誌名

      Human Reproduction 12

      ページ: 2766-2774

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Stathmin, a microtubule regulatory protein is associated with hypoxia-inducible factor-la levels in human endometrial and endothelial cells

    • 著者名/発表者名
      Yoshie M, Miyajima E, Kyo S, Tamura K.
    • 雑誌名

      Endocrinology 150(in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] ヒト子宮内膜間質細胞の脱落膜化におけるcAMP仲介因子Exchange protein directly activated by cAMP(Epac)の役割2009

    • 著者名/発表者名
      吉江幹浩,草間和哉,沓掛真彦,田村和広
    • 学会等名
      日本薬学会第129年会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2009-03-28
  • [学会発表] ヒト胎盤形成におけるExchange proten directly activated by cycli cAMP(Epac)を介したcAMPシグナリング2009

    • 著者名/発表者名
      金山けい, 吉江幹浩, 井坂恵一, 沓掛真彦, 田村和広
    • 学会等名
      第82回日本薬理学会年会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-03-17
  • [学会発表] ヒト臍帯静脈血管内皮細胞におけるスタスミンによるHIF-1αの調節2008

    • 著者名/発表者名
      宮島恵理, 吉江幹浩, 沓掛真彦, 田村和広
    • 学会等名
      第62回西東京内分泌代謝研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-11-17
  • [学会発表] ヒト絨毛癌細胞のシンシチウム化におけるExchange protein directly activated by cAMP(Epac)の役割2008

    • 著者名/発表者名
      吉江幹浩, 金山けい, 沓掛真彦, 武市信, 樋熊千夏, 西洋孝, 井坂恵一, 田村和広
    • 学会等名
      第16回日本胎盤学会学術集会
    • 発表場所
      浜松
    • 年月日
      2008-11-14
  • [学会発表] ヒト栄養膜細胞のホルモン産生におけるExchange protein directly activated by cAMP(Epac)の役割2008

    • 著者名/発表者名
      金山けい,吉江幹浩,加島英明、田村和広
    • 学会等名
      第61回西東京内分泌代謝研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2008-06-09

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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