研究実績の概要 光増感剤であるgallium-dueteroporphyrin(ATX-70:光ケミカル研究所提供)は腫瘍細胞に取り込まれた後、細胞内ミトコンドリアに集積し、超音波による音響により励起状態となり、それに伴い発生する重項酸素がその腫瘍細胞をアポトーシスに誘導すると考えられている(音響力学効果)。今回、ATX-70の悪性黒色腫に対する抗腫瘍効果をin vitro、in vivoで検討した。 1.増感剤ATX-70の培養マウスメラノーマ細胞(B16)における音響力学的効果 (1)培養B16細胞をトリプシン処理後、1×10^5の細胞に増感剤ATX-70(10μM)を添加、30秒間超音波刺激後、トリパン・ブルー染色、LDH活性測定で細胞死を評価した。 (2)超音波照射、ATX-70添加それぞれの単独刺激にて、10〜20%程の細胞死がみられたが、ATX-70添加後に超音波刺激を加えることで、70%の細胞死を認めた。 (3)同様に、LDH活性による細胞傷害率は、超音波照射単独24.8%、ATX-70添加単独13.8%、ATX-70添加+超音波照射41.5%であり、マウスメラノーマ細胞に対する音響力学による細胞傷害作用を認めた。 2.in vivoにおける音響力学作用の有効性 (1)ヌードマウス背部皮膚に2.5×10^5のB16細胞を投与、腫瘍形成後ATX-70を局所投与、超音波刺激を行い、腫瘍の経時的変化を観察した。 (2)照射後28日まで観察したが、対照群と比較して有意な差異は認めなかった。
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