薬剤添加によるヒト末梢リンパ球のCD40L発現の検討 まず、正常人の末梢単核球(PBMC)で、刺激陽性コントロールとしてStaphylococcal enterotoxin B (SEB)を用い、刺激条件を設定した。抗CD28抗体存在下でBrefeldin Aを添加する条件で、SEB刺激によりCD4陽性細胞中のCD40L陽性細胞が多く検出された。 次に、臨床経過から薬疹と診断された13名と、被疑薬剤の内服により既存の痒疹の増悪が疑われた患者のPBMCを用いて、種々の濃度に希釈した被疑薬剤とともに培養、翌日に細胞を回収して、細胞表面のCD4と細胞内のCD40Lを蛍光抗体で染色し、フローサイトメトリーを行った。 臨床経過から薬疹と診断され、既存の薬疹検査法(パッチテスト、DLST、内服テストのいずれか)で原因薬剤も確定し得た6例中の2例で、CD4/CD40Lともに陽性な細胞を陰性コントロールと比べて優位に検出できた。また、臨床経過から薬疹と診断されたが、既存の検査法では原因薬剤の確定が出来なかった4症例中の3例で、被疑薬剤との培養でCD4/CD40L陽性細胞が検出された。ここで陽性の得られた被疑薬剤は、個々の症例の経過から原因薬剤と考えても矛盾のない薬剤であっため、全10例中の5例において本試験法にて原因薬剤の同定が出来たと考えられた。その他薬疹と考えられた3例は既存のDLSTや本試験でも非特異的な反応がいくつかの薬剤で認められたため、確定診断できなかった。疾患コントロールの痒疹の患者のPBMCでは、本試験では陽性にならなかった。 薬疹と診断し得た10例中の半数で、本試験において原因薬剤の同定ができたと考えられ、ある程度の有用性が確認できた。今後は症例を更に増やし、試験の施行時期や薬疹の型など違いにより、陽性になりやすい条件などを検討していく。
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