薬疹の原因薬剤の診断法は、詳細な問診、原因薬剤中止によって皮疹が改善するか否か、パッチテスト、DLST(Drug-induced stimulation test)、内服テストなどがあるが、いずれも安全性や確実性、また時間がかかることなどの点において十分とはいえない。近年活性化された抗原特異的なCD4+T細胞のCD40リガンド(CD40L)の発現を比較的短時間で検出できることが報告された。今回我々はこの方法を利用し、薬疹患者末梢血と薬剤を培養し、CD4+細胞中のCD40L発現を調べることで薬疹の原因薬剤の診断法として確立できるかを検討した。 臨床経過から薬疹が疑われた患者を対象とした。末梢血単核球を分離し、被疑薬剤と抗CD28抗体1を添加後、Brefeldin Aを加え数時間〜24時間程度培養した細胞をフローサイトメトリーで解析した。またDLSTの結果や臨床経過と比較して検討した。 臨床経過などから薬疹と診断された症例の一部において、特定の薬剤と共に培養した細胞のCD4+細胞中に、CD40L陽性細胞がコントロールと比べて多く検出された。皮疹が出現してから本試験までの期間が短い症例において陽性率が高かった。今回、一部の症例においてCD40Lの発現の増強が観察旨できたことから、薬疹の原因薬剤の診断方法としての有効性が示唆された。来年度以降はさらに症例を重ねて、培養の条件や試験を行う時期とCD40L陽陸率の関係、また薬疹の型による傾向などを考察旨し、臨床応用の可否を検討して行く予定である。
|