I アトピー性皮膚炎患者末梢好塩基球と表面のCRTH2発現の検討 : アトピー性皮膚炎患者の末梢血を用いてFcεRI(+)/CD123(+)好塩基球とその細胞表面におけるCRTH2の発現をフローサイトメトリーで観察した。また同時に貨幣状湿疹、痒疹、蕁麻疹などの疾患患者においても同様の検討をおこなった。しかし、現時点では健常人と比較していずれの疾患においても統計学的に有意な差をもって末梢好塩基球数が増加している疾患はみられていない。またプロスタグランジンD2受容体であり細胞遊走にも関与するCRTH2の発現量においても有意な差はなかった。 II アトピー性皮膚炎病変部における好塩基球浸潤 アトピー性皮膚炎患者病変部において好塩基球の浸潤がみられるか否かについて免疫組織学的に検討した. 抗体は英国サザンブトン総合病院のWalls先生より供与いただいた好塩基球特異抗体(BB1)を用い、共同研究として行った。現在のところアトピー性皮膚炎病変部の一部において少数ながら好塩基球浸潤がみられることが確認されている。一方、尋常性乾癬の病変部においては好塩基球浸潤は全く認められていない。今後、アトピー性皮膚炎の急性病変や慢性病変を含めた種々の病変部、さらにダニ抗原などによって誘導される遅発反応における好塩基球浸潤を検討する予定である。
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