研究概要 |
研究成果 1ヒト皮膚疾患における病変部好塩基球 各種皮膚疾患のなかで、病変部に好塩基球の存在が確認される頻度の高い疾患は、アトピー性皮膚炎、痒疹、蕁麻疹、水疱性類天疱瘡、好酸球性膿疱性毛包炎、アナフィラクトイド紫斑などであった。肥満細胞症、尋常性乾癬、腫瘍病変には全く認められなかった。アトピー性皮膚炎病変部における好塩基球数は他の疾患に比べてむしろ低い傾向にあったが、ダニ抗原でパッチテストを行った陽性反応部位では顕著に好塩基球が浸潤していた。 2末梢好塩基球の活性化について 末梢血中の好塩基球の活性化状態をCD203c発現を指標に評価した。蕁麻疹、痒疹患者において健常人より有意に高いCD203c発現がみられた。尋常性乾癬患者の好塩基球では活性化はみられなかった。アトピー性皮膚炎患者では発現のばらつきが大きく、健常人との有意差を検出できなかった。しかし、アトピー性皮膚炎患者の中には明らかに高いレベルのCD203cを発現している群がみられた。 3IgE依存性慢性アレルギー性炎症(IgE-CAI : chronic allergic inflammation)におけるPGD2受容体の関与 好塩基球がその発症に必須とされているTNP-IgE依存性慢性アレルギー反応モデル(IgE-CAI)を用いてPGD2受容体の関与を検証した。PGD2受容体の一つであるCRTH2受容体を欠損させたマウスでのIgE-CAIはwild-typeマウスに比して減弱していた。一方、もう一つの受容体であるDP受容体を欠損させたマウスでは反応に変化はみられなかった。またCRTH2/DP両受容体欠損マウスではCRTH2単独欠損マウスと同様に反応が減弱していた。さらにwild-typeマウスにCRTH2特異的アンタゴニスト(CAY-10471,2mg/kg)を経口投与したところ、反応が抑制された。耳介腫脹が減弱は組織中の好塩基球数減少と相関していた。
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