1.培養表皮角化細胞を用いたin vitroでの解析 正常ヒト表皮角化細胞(NHK)をもちいてヒトHornerinの発現を検討した。Ca2+添加による分化誘導では発現がみられずfull-confluentにより発現が確認された。以上より分化に関連して発現する分子であることが確認された。今後は紫外線照射などさらに異なる条件で誘導されるか検討し、その生物学的な意義を検討する。 2.ヒト疾患におけるヒトHornerinの関与の検討 各種角化異常を伴う皮膚疾患をもつ患者より得られた皮膚を用いてHornerinの発現を検討した。水疱型先天性魚鱗癬紅皮症や扁平苔癬、掌蹠角化症、アトピー性皮膚炎の一部などで発現が確認された。それらの多くはprofilaggrinと共発現していた。さらにhornerinが発現している皮膚ではサイトケラチン6の強発現がみられ、Ki-67陽性細胞が増加しておりケラチノサイトの増殖が亢進している状態で発現することが推測された。 以上の結果よりhornerinが角化異常を伴う疾患で何らかの役割を担っていることが予測され、その一部はprofilaggrinの機能との差異をさらに検討している。
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