研究概要 |
IL-23の抗腫瘍免疫反応におけるTh17の役割を検討するにあたり、まず 1,IL-23遺伝子発現ベクターもしくはcontrolベクター遺伝子を、遺伝子導入したB16F10マウスメラノーマを、同系マウスおよびIL-17ノックアウトマウスの皮下た接種し、腫瘍径と生存率を比較検討した。IL-23遺伝子発現による抗腫瘍効果はIL-17ノックアウトマウスにて有意な差は認められず、IL-23の抗腫瘍効果にIL-17は直接的には関与していないかもしれないことが考えられた。 2,同様に皮下に接種した腫瘍の組織およびリンパ節を、経時的に摘出し、RT-PCRにてサイトカインなどのプロファイリングをした施行。ここでも有意な差は認めなかった。ここで、IL-23はこれまでIL-17を分泌するTh17との関連性が着目されてきたが、このモデルでの腫瘍免疫では、直接的に関与しないことが分かり、今後のIL-23を抗腫瘍免疫療法のアジュバントとして使用することへの重要な足がかりなると考えられる 3,同様にIL-21遺伝子発現ベクターを遺伝子導入したB16F10マウスメラノーマを、同系マウスおよびIL-17ノックアウトマウスの皮下に接種し、腫瘍径と生存率を比較検討した。ここではIL-17ノックアウトマウスに接種した腫瘍が、より抗腫瘍効果を示した。これはIL-21の抗腫瘍免疫反応にはTh17がなんらかの関連を示す結果であり、IL-21に関しては、欧米にて癌治療における臨床的治験も始まっており、重要な意義を持つと考えられる。
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