研究概要 |
IL-23の抗腫瘍免疫反応におけるTh17およびCD4+CD25+制御性T細胞の相互作用と役割を検討するにあたり、 1, 抗CD25抗体を接種し、CD4+CD25+制御性T細胞を除去した、IL-17ノックアウトマウスもしくはワイルドタイプマウスに,それぞれマイトマイシン処理したIL-23発現遺伝子を導入したマウスメラノーマを、先に皮下にワクチン接種し、その後に別の場所に同種マラノーマの親細胞を接種し、その腫瘍の成長曲線を検討した。IL-17ノックアウトマウスではワイルドタイプマウスと同様にワクチン効果が著しく観察された。腫瘍拒絶も見られたことより、IL-23と制御性T細胞の除去で増加したワクチン効果は、IL-17との関連はないかもしれないことが判明した。これは、Th17と制御性T細胞が相互に抑制しあうという以前の報告とは違う知見であった 2, IL-23の抗腫瘍免疫反応に、直接およびワクチン効果のどちらにおいても、Th17の関連は否定的であった。そのため、他の抗腫瘍効果を持つことが報告されているIL-12サイトカインファミリーのIL-12およびIL-27にても、抗腫瘍効果をもつそれぞれのサイトカイン発現遺伝子導入マウスメラノーマをIL-17ノックアウトマウスもしくはワイルドタイプマウスに皮下接種し、その成長曲線を比較し検討した。結果IL-23同様に、有意な差は認めなかつた。 最近Th17は、免疫反応の場で様々な役割が証明されており、抗腫瘍免疫反応においても何らかの役割を担うことが予想される。今後はそのTh17の腫瘍免疫での関わりを明らかにすることが重要な意義を持つと考えられる。
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