研究課題
<背景>ケミカルピーリングは、薬品で化学的に皮膚を薄くはがして、老化した皮膚を若返らせる手技である。我々は、光老化、光発癌の動物モデルである紫外線照射マウスを用いて、サリチル酸マクロゴールピーリングが光発癌を抑制、減少させることを示した。さらに、これらのマウスで皮膚の角化を正常化し、異常発現したがん抑制因子のp53タンパクの発現を正常化させること、ヒトでも紫外線による角化異常を正常化させることを示した。<目的>ケミカルピーリングによる角化の正常化および皮膚癌抑制が、皮膚のリモデリングによる角化細胞の機械的ストレス環境の修飾によるものかどうかを明らかにする。<今年度の成果>1.シクロオキシゲナーゼ阻害作用による発癌抑制の否定我々は、サリチル酸自体の薬理作用による発癌抑制を否定するため、まずマウスで、表皮プロスタグランディンE2の定量系を確立した。次に、紫外線照射により表示にプロスタグランディンE2を誘導したマウスで、サリチル酸マクロゴールピーリングは角化細胞のプロスタグランディンE2合成を阻害しないことを証明した(未発表)。2.ケミカルピーリングによる機械的ストレスシグナル伝達物質の活性化角化細胞における機械的ストレス受容体としてのインテグリンのシグナル伝達が、ケミカルピーリングによる表皮のリモデリングで変化するかどうかを、紫外線照射マウスで評価した。インテグリンレセプターの下流の各種シグナル伝達物質、転写因子の活性化を免疫組織化学で評価した。その結果、ピーリングによりERKのリン酸化が亢進することが示された(未発表)。<研究成果の意義および重要性>角層のピーリングにより、表皮の機械的ストレスシグナルが変化する可能性が示された。細胞が周りから強いられた「かたち」によって発癌が影響を受けるとすれば、生物学的にも予防医学の点でもきわめて意義深い。
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