全身性強皮症の動物モデルで皮膚硬化と自己抗体産生が認められるタイトスキン(TSK)マウスの病態形成におけるCD40/CD40L相互作用の関与を解析した。TSKマウスでは末梢血CD4陽性細胞でのCD40Lの発現細胞の割合が野生型マウスに比べて7.5倍増強していた(P<0.001)。さらに、TSKマウスでは血漿中の可溶性CD40L値が野生型マウスに比べて4週齢で11倍、8週齢で7.7倍増加していた(P<0.0001)。このようにTSKマウスではCD40/CD40Lの相互作用が亢進していることが示唆された。さらに、TSKマウス由来の線維芽細胞ではin vitroでのCD40刺激に対する増殖活性が118%(P<0.001)、コラーゲン産生が56%(P<0.03)増強していたことより、CD40刺激に対する過敏性も存在している事が示唆された。そこで、TSKマウスに抗CD40L抗体を投与したところ、皮膚厚が65%減少し(P<.0001)、コラーゲン量が17%減少し(P<0.001)、皮膚が容易につまみ上げられるようになった。さらに抗CD40L抗体投与にて、抗トポイソメラーゼI抗体産生も抑制された。TSKマウスの線維化と自己抗体産生にCD40/CD40L相互作用が関与していることが強く示唆された。既に、抗CD40L抗体は自己免疫性血小板減少症などに対する使用実績が有るため、今後、難病で有効な治療の少ない全身性強皮症においても新しい治療薬として有用である可能性が考えられた。さらに、全身性強皮症以外の線維化を来す疾患群に対する治療応用の可能性も考えられた。
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