研究概要 |
尋常性乾癬は家族に多発することが知られており、何らかの遺伝因子が関与しているものと考えられている。ゲノムスキャンにより、尋常性乾癬の遺伝因子が染色体17q24-25に存在することが示唆されている。この部位に存在するEVER1, EVER2については乾癬の候補遺伝子である。 そこで、EVER1およびEVER2遺伝子の一塩基多型(SNP)について、以下の9つのcSNPにつき相関解析を行った。 EVER1遺伝子 : rs2748427(exon5)Arg125Trp, rs12449858 (exon6)Phe 153Leu, rs9895373 (exon7)Phe 200Ser, rs8078238(exon8)Ile287Val, rs3818144(exon10)Thr382Thr, rs2613516(exon16)Thr650 Thrの6つのcSNPについて、EVER2遺伝子 : rs7208422(exon8)Ile306Asn, rs12452890(exon9)Glu369Glu, re11651675(exon12)Ile501Valの3つのcSNPについて乾癬患者80症例とcontro100症例につき検討した。その結果、EVER1exonl6でP<0.00104、EVER2exon9でP<0.0418という結果が得られ、この2つのSNPに関しては乾癬患者とcontrol間で有意差があると判断した。 EVER1, EVER2ともに乾癬遺伝子として有力な候補遺伝子と考えられる。EVER1, EVER2ともにHPVの免疫的排除に関わる遺伝子である。乾癬患者さんの病変皮膚からは、HPVが高頻度に検出されることから、皮膚に外来性のHPVが存在するためにそれを排除しようとインターフェロンの発現が高くなり、乾癬を発症しやすくなる免疫バランスに傾くと考えた。
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