研究概要 |
前回申請分の研究計画に引き続き、さらに多数のT細胞株を樹立し、病原性関連因子の同定を試みた。 1.Dsg3反応性T細胞株の樹立と病原性の確認。 Dsg3^<-/->マウスよりDsg3反応性T細胞株をさらに樹立し合計20株とした。そのうちT細胞受容体Vβ鎖特異的なプライマーを用いたfamily PCR で合計13のT細胞クローン株を確認した。全20株についてin vivoにおける病原性を次の様に評価した。rmDsg3で免疫したDsg3^<-/->マウス脾臓からB220陽性細胞を磁気ビーズで単離し、樹立した各T細胞株とともにRag2^<-/->マウスに移植した。その結果、20株中7株のT細胞株で、移植後にRag2^<-/->マウスの血清抗Dsg3抗体価が上昇し、口蓋粘膜の棘融解像を認め、病原性を有する株であったが、13株は病原性を有さなかった。 2. Dsg3応性T細胞株の病原性と関連する因子の抽出。全20株について、各種サイトカインおよび ケモカイン受容体などをRT-PCRで解析し、病原性との関連を統計学的に解析した結果、IL-4と IL-10が病原性と有意に関連した(P=0.04)。次に可溶性サイトカイン受容体(sIL-4Rα, sIL- 10Rα, sIFN-γRl)を発現する組み換えアデノウイルス作成し、Rag2^<-/->マウスに経静脈的に投与した後に病原性を有するT細胞株とB細胞を移植した結果、sIL-4Rαを発現させたRag2^<-/->マウスで抗Dsg3抗体価の上昇とPV発現型を抑制できた。 本年度の検討で、Dsg3反応性T細胞株の病原性規定因子としてIL-4を同定した。このことは天疱瘡治療におけるTL-4を標的とした新規治療法の可能性を意味する。
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