本年度は昨年度までは、Dsg3反応性T細胞の病原性の有無と相関する分子としてIL-4とIL-10を同定したが、さらに他の分子についてもスクリーニングを完了し、実際に病原性規定分子を同定した 1. 病原性関連分子のスクリーニング。昨年度までのサイトカインの結果に加えて、T細胞受容体Vβ遺伝子、T細胞エピトープ、ケモカイン受容体についてDsg3反応性T細胞株の病原性の有無との関連性を解析した。その結果、IL-4とIL-10が病原性関連分子として抽出されたが、今年度検索した分子やT細胞の特性については病原性との関連は認めなかった。そこで、本年度はこのIL-4とIL-10にのみに注目して研究を進めた。 2. アデノウイルスを用いたサイトカイン阻害療法。可溶性サイトカイン受容体としてsIL-4Rα、sIL-10Rα、sIFN-γR1を発現できるアデノウイルスを作成し、生体内た注射できるように無菌的に精製した。これをマウス尾静脈がら投写し、血漿中に組み替えタンパクガ1ヶ月以上に渡って存在できるごとを確認した。PVモデルマウス作成5日前に各ウイルスを投与したところ、IL-4Rαを発現させたマウスにおいて、天疱瘡フェノタイプと抗Dsg3IgG抗体価の低下を認めた。以上よりIL-4がDsg3反応性T細胞の病原性を規定している因子のひとつであることを証明した。今後の天疱瘡の新規治療法の一つとして期待される結果であった。
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