研究計画初年度である平成19年度は、申請書にあるように1.マウス髭およびヒト毛嚢におけるAngpt12発現部位および分泌細胞の同定および、2.Angpt12蛋白の作製と同時に、3.in vitroでのバルジ幹細胞の増殖能に与えるAngpt12の影響の評価の確立を試みた。すでに予備実験としてマイクロダイセクション法を用いてマウス髭でのAngpt12mRNAが毛嚢幹細胞のニッシエであるバルジ領域に強く発現していることを確認済みであるが、ヒトにおいてもバルジを含まない毛嚢上部・下部、バルジ領域を含む毛嚢中部に3分割し解析した結果、マウスと同じくバルジ領域にAngpt12の強い発現が認められ、ヒト毛嚢においてもAngpt12が幹細胞維持に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。Angpt12分子の毛嚢幹細胞へ関与を評価するためには、培養による評価系が必要であり、添加する組み替えヒトAngpt12蛋白を、バキュロウイルス発現系にて作成した。完成した蛋白は分子量約70kDaのAngpt12分子であることをウェスタンプロット法にて確認済みである。毛嚢バルジ細胞は頭皮由来表皮細胞に比べ速い増殖速度を維持し、高いコロニー形成能(ホ口クローン性)を維持し続ける。この特性がin vitroにおけるバルジ細胞の幹細胞的特性の一つとされる。 Angpt12がバルジ細胞に与える影響を検討するためにはこの培養系の安定化が必須であったため、ヒト頭皮サンプルを用いて培養系を確立した。
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