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2008 年度 実績報告書

溶液環境制御セルを用いた皮膚角層細胞間脂質の構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 19790805
研究機関関西学院大学

研究代表者

中沢 寛光  関西学院大学, 理工学部, 実験助手 (70411775)

キーワード皮膚 / 角層 / 細胞間脂質 / 経皮吸収 / 化粧品 / X線回折
研究概要

皮膚角層の最も重要な役割として、アレルゲンなどの体内への侵入や体内から過剰な水分が蒸散することを抑制する、いわゆる皮膚バリアとしての機能が挙げられる。医薬品や化粧品の開発分野において、分子レベルでその機構を明らかにすることは非常に重要な課題であるが、個体差や部位差の問題があり、微細な構造変化を解析することは難しい。そこで今回これらの問題を解決するため、皮膚角層(1mg程度)を微小領域に固定しつつ、サンプルの外部溶液環境を変化させることができる"溶液環境制御セル"を独自に開発し、さらにSPring-8(BL-40B2)の高輝度な放射光を用いることにより、様々な溶液に暴露した時の角層の細胞間脂質の挙動をリアルタイムで解析することを試みた。外部溶液環境に水やグリセロール水溶液を選択すると、皮膚角層細胞間脂質ラメラ構造の膨潤現象や散乱バックグランドの変化が観測され、それらは角層の含有水分量に依存して変化することが分かった。またクロロホルム : メタノール(2 : 1)溶液を添加すると系統的な細胞間脂質の溶出が観測され、その時定数は30min程度であることが分かった。バックグランドの変化は主に水やグリセロール水溶液が角質細胞に浸透し、ケラチンと結合することで生じると考えられた。今回開発した溶液セルを用いることで、溶液暴露の前後で皮膚の同一領域にX線を照射することが可能となり、またX線回折プロファイルを溶液暴露の前後で引算して分析することで、溶液の作用により生じる微細な構造変化を捉えることができた。当手法を用いることにより、様々な物質と皮膚角層の相互作用が明らかになり、より経皮浸透性の高い製剤や、より皮膚刺激性の少ない洗剤などの開発分野に貴重なデータを提供できると考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Study on regional differences of stratum corneum structure in human skin by electron diffraction2008

    • 著者名/発表者名
      H. Nakazawa
    • 雑誌名

      Chemistry and Physics of Lipids 154

      ページ: 27

  • [学会発表] Mapping of the structural domains in the human skin stratum corneum by electron diffraction2008

    • 著者名/発表者名
      T Imai
    • 学会等名
      日本生物物理学会
    • 発表場所
      福岡国際会議場
    • 年月日
      2008-12-03
  • [学会発表] ヒト皮膚角層の構造に対する角層含有水分量の効果2008

    • 著者名/発表者名
      中沢寛光
    • 学会等名
      コロイド及び界面化学討論会
    • 発表場所
      九州大学
    • 年月日
      2008-09-07
  • [学会発表] 化学物質の作用による皮膚角層中の細胞間脂質および角層細胞の構造変化過程2008

    • 著者名/発表者名
      八田一郎
    • 学会等名
      日本香粧品学会
    • 発表場所
      ヤクルトホール(新橋)
    • 年月日
      2008-06-05

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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