研究概要 |
平成19年度は、いくつかの先天性角化症や表皮水庖症の患者についてPCR法、DGGE(denaturing gradient gel electrophoresis)法、ダイレクトシークエンス法を用いて遺伝子変異解析を行った。そのうち、アトピー性皮膚炎を合併した尋常性魚鱗癬の日本人家系におけるフィラグリン遺伝子変異(Hamada T et a1: J Invest Dermatol2007 Nov 15;[Epub ahead of print].)や劣性栄養障害型表皮水庖症の日本人患者におけるCOL7A1遺伝子変異(Hamada T, et. al.:J Dermatol Sci2008Jan18;[Epub ahead of print].)、日本と韓国から収集したHailey-Hailey病患者におけるATP2C1遺伝子変異(Hamada T, et. al.:J Dermalol Sci;in press)について報告した。COL7A1とATP2C1遺伝子変異においては、患者と正常コントロールのmRNA発現様式を詳細に検討することにより、各疾患の臨床的重症度と遺伝子変異の種類・部位との相関(genotype-phenotype correlation)について考察した。これらの知見は出生直後に臨床的予後を推測することが困難である遺伝性疾患において、経過を予測し、症状増悪の予防や治療法を的確に選択できる可能性を考慮する上で非常に重要である。また、先天性角化症患者団体との交流で得られた複数の重症型魚鱗癬家系のゲノムDNAについてもABCA12遺伝子変異解析を進めているところである。我々の研究室で以前から行っている単純型表皮水庖症のケラチン5/14遺伝子変異についての検討も引き続き行っている。
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