研究概要 |
一酸化窒合成酵素(nitric oxide synthase, 以下NOS)は、3つの亜種からなる。その内の一つに誘導型NOS(inducible NOS ; iNOS)が知られているが、NOやiNOSがいかなるメカニズムで皮膚炎症に関与するかは不明な点が多い。これまで、接触皮膚炎モデルを用いてiNosの接触皮膚炎における役割を検討した結果、iNOS inhibitor投与群では、ランゲルハンス細胞(LC)の遊走を亢進させることを明らかにした。そこで、本年度はいかなるメカニズムでiNOSがLCの遊走に関与するかを検討することにした。まず、LCのCCR7のリガンドであるCCL21に対する遊走能を検討するため、ケモタキシスアッセイを行った。マウス耳翼から表皮細胞浮遊液を調整し、24時間培養した細胞をケモタキシスアッセイに用いた。iNOS inhibitor処理群では、CCL21に対するケモタキシスが有意に亢進した。そこで、LCの共刺激分子発現について検討した。しかしながら、iNOS inhibitorは、表皮細胞浮遊液を24時間培養したLCの共刺激分子発現には影響を与えなかった。他方、表皮細胞浮遊液をiNOS inhibitorで処理した群ではLCのアポトーシスが有意に減少した。このことは、iNOSはLCの生存に影響を与えることを示している。以上の検討から、接触過敏反応においてiNosはLCの遊走や生存に関与し、免疫応答を負に制御する因子であることが明らかになった
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