研究概要 |
<目的>HTLV-1の腫瘍遺伝子であるTaxがPD-1、PD-L1, 2発現をpromoteするか検討した。 <方法>ヒト由来リンパ腫細胞であるJurkat細胞とCd2+依存性にTaxを誘導できるJPX-9細胞(Jurkat細胞由来)を用いた。両細胞にCd2+20μg/mlの濃度で添加、非添加して3日間培養後、PD-1, PD-L1, 2、細胞内active-caspase3をフローサイトメトリーで解析した。次に、Cd2+非添加状態で、JPX-9、Jurkat細胞両者にUVBを60mJ/cm2照射し、18時間後にPD-1、細胞内active-caspase3を解析した。 <結果>Cd2+添加群(Tax誘導)JPX-9でのみPD-1の発現を認め、Cd2+非添加群ならびにCd2+添加、非添加Jurkat細胞ではPD-1の発現は認められなかった。一方、PD-L1, 2の発現はCd2+に関係なく、両細胞では認められなかった。Tax誘導JPX-9細胞におけるPD-1発現は同時に強いcaspase3活性を持っており、すなわちapoptosis細胞にのみ認められることが分かった。しかし、Cd2+非添加状態でUVBを照射することにより、JPX-9、Jurkat細胞両者に強いPD-1の発現とcaspase3活性を認めた。すなわち、Taxの活性が直接的にPD-1の発現をpromoteするのではなく、Taxの活性によって生じるapoptosisの過程でPD-1が発現されることが分かった。 <考察>本年度の結果では、Taxの活性化に伴うapoptosisの過程でPD-1が発現されることを見いだした。しかし、本研究は、特殊な細胞での実験結果であり、今後は患者CD4+T細胞でもTaxの活性とapoptosis、PD-1発現の解析が必須であると考えた。
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