研究課題
脳内NMDA受容体活性を調べるために、放射性標識化合物[^<11>C]GMOMを用いてアカゲザルのPET測定を行った(n=3)。コントロールスキャンを得た後、PCP急性投与中の[^<11>C]GMOMのPET計測を行い、[^<11>C]GMOMの結合能をコントロールスキャンと比較した。さらに、PCPの慢性投与(2週間)がNMDA受容体活性に与える影響を調べるために、慢性投与が終了した2日後ならびに30日後にPET計測を行い、コントロールスキャンと比較した。急性投与中の各標識化合物の結合能は、コントロールと比較して低下する傾向が観られた。慢性投与が終了した2日後では、コントロールと比較して結合能が増加する傾向が観られた。結合能の増加は、PCPの慢性投与が終了した30日後の時点は観られず、ほとんどコントロールレベルに戻っていた。この結合能の増加はNMDA受容体の一過性の発現増加を反映したものと考えられる。これらの結果は、11C-GMOMが覚醒状態の脳内NMDA受容体を評価できるPET用放射性標識化合物として有用であることを示唆する。PCP慢性投与終了から30日後のPET計測が終了したのち、サルを安楽死させ、速やかに脳を摘出した。[^3H]MK-801を用いた放射性イムノアッセイにより、NMDA受容体を定量し、PETで得られた結果と照合する予定である。認知行動実験(遅延反応課題)は、19年度から引き続き行い、上記と別のアカゲザル3頭のコントロールデータを得た。各個体が正解を維持できる最大遅延時間を求めた。三頭の最大遅延時間は、25〜30秒であった。
すべて 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
PLoS ONE 3
ページ: e3648
ページ: e2283
J Neurosci 28
ページ: 5756-5761