強迫性障害(obsessive-compulsive disorder ; OCD)患者の病態解析のために、薬物応答性など臨床特徴でOCDを分類し、(1)遺伝子多型解析と(2)高磁場の3TMR装置による1H-magnetic resonance spectroscopy(MRS)機能画像と2つの手法を用いて検討し、OCDにおける神経生物学的特徴を明らかにするべく、以下の研究を行った。 1 遺伝子多型解析 5-HTTLPRなどモノアミン関連遺伝子とSLC1A1などグルタミン酸関連遺伝子についてcase-control関連解析、ハプロタイプ解析を行った。また、OCD患者群を治療反応性で分け、機能性多型に基づく統計解析を行った。 2 3T MR装置による1H-MRS機能画像 magnetic resonance spectroscopy(MRS)を用い、これまで使用してきた1.5TMR装置では検出困難であったグルタミン酸、GABAなど神経伝達物質を直接に定量、評価した。健常対照群とOCD患者群の局所脳代謝の違いについて、左右基底核(尾状核頭部を中心に)、帯状回、左右前頭前野などにregion of interest(ROI)を設定し、脳内各部位における物質変化を検討し評価している。平行して年齢性別を一致させた健常対照群のデータも集積している。 3 遺伝子多型と3T 1H-MRSの統合 3T 1H-MRSで定量できるグルタミン酸、GABAなどの神経伝達物質の代謝に影響を与えると考えられる遺伝子多型との関連を検討した。
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