研究概要 |
平成19年度に引き続き、研究協力者の宮裕昭(福知山市民病院心理技師)と申請者が京都府立医科大学付属病院、および福知山市民病院の老人性認知症診断センターを受診した認知症高齢者とその介護者を対象として、応用行動分析を用いた介護者指導を行った。その結果については、 "Challenging Behavior of Patients with Frontal Dysfunction Managed Successfully by Behavioral Intervention" と題してPsychogeriatrics誌に投稿し、現在印刷中である。また、期間中カナダ、トロントの老年精神医学施設 (Baycrest, Centre fbr Addiction and Mental Health, Sunnybrook Health Sciences Centre) を訪問し、応用行動分析の認知症の問題行動に対する適応を研究している研究者との議論を行った。また、Baycrestにて編纂された著書である、ナーシングホーム入所者の問題行動に対する応用行動分析的アプローチを概説した章を含む、 "Practical Psychiatly in the Long Term Care Home" について日本語への翻訳の許可を得て、現在翻訳作業中である。これらの研究活動を通して、応用行動分析を用いた行動的介入は、前頭葉機能障害を背景とした持続する行動障害に対して特に効果的であることが明らかとなった。また、一方で、身体疾患やせん妄を背景とする変動する行動に対しては適用が難しく、また、介護者の理解能力に応じた指導が必要であることも明らかとなった。
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