研究概要 |
【はじめに】DSM-IVなど現在の診断基準では,広汎性発達障害(以下PDD)と診断されれば,注意欠陥多動性障害(以下ADHD)は併存診断されないとされている。しかしPDD児はしばしばADHD様症状を伴う議論となっているものの一定の見解を得られていない。そこで,高機能PDD児における多動や不注意症状について調査することにした。 【対象】大阪市立大学医学部附属病院神経精神科に通院中の,精神遅滞を伴わない6〜15歳のPDD児73例(10.0±2.5歳)とADHD児34例(8.7±2.2歳)を対象とした。 【方法】親に研究の主旨を説明し書面にて同意を得た上で,質問紙としてADHD rating scale (以下ADHDRS)を実施した。また,PDDにおけるADHDの併存診断を行ったうえで,ADHD混合型(ADHDC)に限定して,PDD+ADHDC,ADHDC,PDDの3群比較を行った。 【結果】ADHDRSに関しては,PDD群と比較して,ADHDC群とPDD+ADHDC群は,不注意,多動一衝動性の両得点が有意に高く,一方,ADHDC,PDD+ADHDCの2群間において有意差が認められなかった。 【結論】高機能PDD児における多動,不注意症状について,ADHDと比較して類似しており,PDDに併存する多動,不注意症状をADHDと併存診断することの妥当性が示唆され,さらなる行動特徴の比較検討を要すると考えられた。
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