研究概要 |
申請者らはフルボキサミンなどのSSRIやSNRIを3週間ラットに投与後、大脳皮質二次自律感覚領域でAKTが活性化されSer473,Thr308のリン酸化が亢進しリン酸化されたAKTは細胞質内より核内に移行していることを発表した。AKTはbHLH転写因子を活性化しノルアドレナリンの分泌を調節していることが報告されている。抗うつ薬作用が2週間以上かかることの仮説として、抗うつ薬がリン酸化を介してAKTを活性化し、転写を調節しRNAの合成を制御し、さらにRNAがDNAに作用するカスケードを介することで蛋白質の発現を最終的に調節している可能性が考えられる。そこで今回はAKTを活性化しリン酸化される転写因子をプロテオミクス的手法を用い網羅的に同定することを目的とする。 PC12細胞にフルボキサミン投与後、Ser473,Thr308のリン酸化が亢進した。またBDNFをPC12細胞に投与後、同様にAKTのリン酸化が起こり、PI-3 kinazeの活性化を抑制するLY294002にて、BDNFによるAKTのリン酸化が抑制された。また同様にLY294002にて、フルボキサミンによるAKTのリン酸化が抑制されたことから、フルボキサミンによるAKTのリン酸化はBDNFを介して起っていると考えられる。AKTはセリンースレオニンリン酸化酵素であるため、AKTによりリン酸化されて蛋白質をPhosphoprotein stain法によりリン酸化された蛋白質のみを検出できる。 さらにAKTが転写因子をリン酸化し活性化すれば転写調節され発現が増加した蛋白質の検出には、2D解析システム・バリアブル・イメージアラナイザー(アマシャム社:Typhoon)を用い検出する。
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