以前に作製され凍結保存されていた一卵性双生児双極性障害不一致例由来のリンパ芽球(理化学研究所・脳科学総合研究センターにおける倫理委員会承認のもと、双極性障害患者および正常被験者に口頭および書面にて研究の意義、方法を十分に説明し、同意を得た上で採取した末梢血かちリンパ球を分離し、EBVを用いて芽球化した細胞)を起こし、前年度より検討していた培養リンパ芽球から高感度密度勾配を用いた方法により各分画を回収し、ミトコンドリア分画からタンパク質の回収を行い、ウエスタンプロットで確認を行った。蛍光標識2次元ディプァレンシャルタル電気泳動(Two Dimensional Fluorescence Difference Gel Electrophoresis : 2D-DIGE)を用いて、一卵性双生児双極性障害不一致例におけるリンパ芽球のミトコンドリア関連タンパク質の比較解析を行った。各サンプルを蛍光標識し、2次元電気泳動で分離した結果、約3000から3300のスポットが検出された。ほとんどのタンパク質の発現パターンは同じであり、これは一卵性双生児であるため多くのタンパク質の発現量が等しいものと考えられた。しかしながら、ごく一部に両者で差異を示す可能性があるタンパク質が約100個程度認められた。以上の結果から一卵性双生児双極性障害不一致例由来のリンパ芽球において発現の変化するタンパク質群が存在することが分かった。これらは双極性障害と関連した分子である可能性があると考えられた。
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