研究概要 |
平成17年2月〜3月に東北大学病院で行われたFDG-PET/CT検査から、癌治療後の症例とFDG-PET/CT検査施行時の技術的問題のあったものを除外し、1年以上の経過が確認でき、PET検査前後5日間の血液所見などの臨床情報が得られる症例を選択、良性疾患32例、悪性疾患33例を得た。PET検査前後5日間の血球数および炎症反応の指標としてのCRP値と、FDG-PET/CT画像での胸腰椎骨髄のグルコース代謝活性との関連を、骨髄のSUV(standardized uptake value)、および骨髄SUVの肝のSUVに対する比(骨髄/肝比)を用いて検討した。良性・悪性群間に年齢、CRP、白血球・赤血球・血小板数の有意差(t-test, P<0.05)は見られなかった。骨髄SUVより骨髄/肝比の方が血液データとの関連に関する多変量解析における決定係数値が高く、精度が高いと思われたため、骨髄/肝比について検討した。血液検査データとの関連では両群ともに年齢との負相関、CRPとの正相関が認められた。悪性群と良性群とで見られた骨髄糖代謝の年齢依存性は造血髄分布・量の年齢に伴う変化を反映すると考えられ、CRPとの関連は骨髄集積が炎症による刺激を反映することを示すと思われた。また、骨髄/肝比が1を上回る例では、悪性群の1例を除いてすべてCRPが高値で、視覚的に骨髄集積が肝集積と同等以上ものもは病的な骨髄刺激を示すと考えられた。FDG-PET/CTでの炎症所見の関連において、急性増悪を生じていない間質性肺疾患患者28名と、肺に明らかな異常のない患者36名とで肺のSUV値とCT値との関連を比較し、肺のSUVが肺のCT値と高い相関を示しており、基本的に組織密度を反映していると思われること、肺の淡い集積は必ずしも活動性炎症を示唆しないことを示した。この研究は英文論文として公表される(Annals of Nuclear Medicine, 2009)。これらすべての過程において個人情報保護のための施設内ガイドラインを遵守し、セキュリティ機能のあるデータ保存機器を使用している
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