研究概要 |
FPDを用いて息を止めた状態で撮影した胸部X線動画像を対象に,肺や心臓の血液循環に伴うX線透過性(=画素値)の変化を計測し,血流動態および分布を評価する新しい画像診断システムを開発することが研究期間内の目標である.今年度の研究成果を以下に示す. 臨床試験 胸部疾患症例(COPD,肺繊維症,閉塞性細気管支炎,無気肺,喘息)14例の胸部X線動画像を取得した.ゴールドスタンダードとして利用するために,CT・肺機能検査・核医学検査の結果を同時に収集した.収集した画像をこれまでに開発した手法を用いて画像解析プログラムで計測した.本法による解析結果を,CTや核医学検査所見と比較した.多くの症例でそれらは一致したが,一部異なる症例があった.症例数の増加,画像解析法の改善,異常検出能の評価がH20年度の課題である.また,肺塞栓症・肺高血圧・一般的な心疾患などのデータ収集をしていく必要がある. 本法の血流計測能の評価 肺内の血流分布を変化させるために,撮影体位を変化させて胸部X線動画像を取得した(立位,左右側臥位).心拍動性の画素値の変化量を計測し,体位による違いを比較したところ,画素値の変化量は肺血流分布変化を反映した結果を示した.本法は,肺血流分布を評価できる計測能を有していることが明らかとなった. 画像解析プログラムの開発および最適化 心室面積と画素値の変化から心駆出率に関連する情報を取得する手法を開発した.また,臨床データの解析を通して撮影条件や各種解析パラメータの最適化を行った.病変部以外のノイズ成分を低減する画像処理フィルタを開発した.
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