当該年度の研究実施計画では、急性期中大脳動脈閉塞を施した動物モデルに対し、計算技術用ソフトMATLABを使用して脳梗塞領域を自動検出解析するプログラム作成を目的とした。しかし、当施設の小動物PET装置が未だ実用化に至らず開発段階ということもあり、小動物データを使わず既に確立されているヒトのデータを用いて研究を始めることにした。 我々は簡単にプログラム可能であると言われているMATLAB言語をプラットホームとして選択したが、この言語を用いて一からソフト開発を行った経験がなく基本的なプログラム手法から習得する必要があり多くの時間を費やした。また、臨床医療用画像は、通常8あるいは16ビットで構成されており、画像マトリックス数も64×64〜512×512まで多種多様であるので各画像に対応する画像入出力プログラム作成には非常に困難を要した。したがって、当該年度内ではヒトの脳PET画像を入出力可能な画像表示システムの構築までを可能とした。目標であった画像解析プログラムの導入は行えなかったので次年度以降の課題である。 このシステムを構築開始する以前から、我々は虚血性脳疾患における無採血簡略的検査法を開発に取り組んできたわけだが、この研究の開始段階では改善の余地ある方法であった。そこで、放射性薬剤投与後の撮像方法を検討して更なる検査時間短縮化に成功した。この簡便化検査法と研究課題の自動検出解析システムを最終的に構築し組み合わせることによりPET診断の簡略化が更に向上すると思われた。
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