研究課題
本年度は、これまで構築してきた動物および臨床PET画像における自動関心領域(ROI)設定および脳左右比の計算を加えた画像解析プログラムの完成を目標とした。また、解析に不要なシルビウス裂や局所脳梗塞領域を省いてROI値を取得する自動検出解析システムの改良および導入を試みた。前年度まではMatlab言語を使用し、亜急性期虚血性脳疾患患者および18F-FDGのラット画像において画像解析プログラムの有用性を確認できたが、本年度は、^<18>F-FDG画像よりもノイズを多く含み、脳領域の把握が困難な^<15>Oガス投与のラット脳画像にも適用を試みた。形態情報を有するMRIとPETの融合画像の作成に多くの時間を費やし、正確に融合できるプログラムに改良したところ、手動のROI設定による脳左右比の計算結果と良く一致した。これをマウス適用したところ、脳画像が非常に小さいため画質が悪く光手動による結果と比べて差が生じた。次に、自動検出解析システムの改良を行った。特に、前年度開発途中であったシルビウス裂や脳梗塞の検出プログラムの完成を目指したが、この検出に必要なハブ変換プログラムをMatlab言語により作成するためには多くの時間を要したので、無償かつ汎用性も高く様々なライブラリが組み込まれているImage Jを用いた開発に切り替えた。このソフトにはハフ変換プログラムが既に存在したため、ヒトMRI画像におけるシルビウス裂の検出に成功し、これをPET画像に反映させてROI中からシルビウス裂を除去するシステムを完成できた。また、同じプログラムを用いて脳梗塞領域の検出を試みたところ、非常に小さい脳梗塞領域や多数の梗塞がある場合を除き、その検出に成功した。脳梗塞モデル動物においても、脳半球の多くが梗塞領域である場合に検出できた。PET研究において迅速かつ簡便な診断および解析ツールは重要である。今後、Image JのJava言語プログラムを参考にし、Matlab言語に応用することで自動検出かつ解析が可能な新しいソフト開発が完成できると思われた。
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日本放射線技術学会雑誌 66
ページ: 42-48