研究課題
本研究の目的は、ヒト神経膠腫における免疫寛容状態を、PET(positron emission tomography;ポジトロン断層撮影装置)によって生体内で可視化するとともに、病理学的評価を並行して行うことで、分子イメージング画像の妥当性を評価することである。また、これらの結果を炎症性疾患などの他の中枢神経疾患の結果と対比することで、神経膠腫の病態生理解明および早期診断に役立てることも目標にしている。平成19年度は、preliminary studyとして、神経膠腫の手術を行う患者数名に対して[11C]PK11195-PETを行うことができた。更には、これらの患者の手術標本を研究協力者である英国Imperial College London神経病理学講座講師F.Roncaroli博士の下で病理学的解析を行った。その結果、anaplastic astrocytoma(WHO分類grade III)のうち、MRIで造影効果のないものについては、腫瘍およびその周辺のミクログリアに末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)の発現が抑制されていることが、モノクローナル抗体を用いた病理学的検討で明らかになった。また、これらのPBRの発現抑制を[11C]PK11195-PETにて確認することができた。これらの成果は、英文学術誌に掲載された(研究発表参照)。また、脳腫瘍組織内に浸潤するミクログリアのPBRの発現を神経膠腫グレードI-IVおよびその他の脳腫瘍について検討をはじめた。
すべて 2007
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Journal of Neuro-oncology 85
ページ: 95-1031