研究概要 |
MRI装置は磁場強度が高くなると信号雑音比の高い精緻な画像が得られ、また磁化率効果への感度の上昇により出血性病変をより鋭敏に描出できる可能性がある。本研究ではこの点に着目し、内膜症性嚢胞のMRI診断における3テスラ装置の有用性について検討した。現有する臨床用MRI装置(GE社製・1.5テスラ装置および3テスラ装置)を用い、撮像シークエンスの条件を揃えて内膜症性嚢胞の臨床例において十分なインフォームド・コンセントを得た上で1.5テスラおよび3テスラ装置で同日に連続して撮像を行い、画像所見の対比検討を行った。その結果として、内膜症性嚢胞の特異的なMR所見であるshading (T2強調像における信号低下)が3テスラ装置でより鋭敏に観察されることが判明した。この内容について国際磁気共鳴医学会(ISMRM2007, Berlin)にて発表を行い、Journal of Computer Assisted Tomographyに原著論文として採択された。また、磁化率強調画像(Susceptibility-weighted imaging)による内膜症性嚢胞壁へのヘモジデリン沈着の検出が診断に寄与する可能性についても知見が得られ、併せて国際磁気共鳴医学会にて発表を行った。また、妊娠に伴う内膜症性嚢胞の脱落膜化のMR診断における拡散強調像(Diffusion-weighted imaging)の有用性についても同じく国際磁気共鳴医学会にて発表を行い、Journalof Computer Assisted Tomographyに原著論文として採択された。同内容については、日本磁気共鳴医学界大会にて展示発表を行い、大会長賞を受賞した。また、北米放射線学会(RSNA2007, Chicago)にて教育展示として発表を行った。上記の内容を含んだ3テスラ装置の婦人科領域への応用について、JSAWIシンポジウムにおいて教育講演を行った。
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