研究概要 |
MRI装置は磁場強度が高くなると信号雑音比の高い精緻な画像が得られ、また磁化率効果への感度の上昇により出血性病変をより鋭敏に描出できる可能性がある。本研究ではこの点に着目し、内膜症性嚢胞のMRI診断における3テスラ装置の有用性について検討した。 前年度の成果の一部として、磁化率強調画像(Susceptibility-weighted imaging : SWI)による内膜症性嚢胞壁へのヘモジデリン沈着の検出が診断に寄与する可能性について国際磁気共鳴医学会(ISMRM 2007, Berlin)にて発表を行ったが、同内容についてAm J Roentgenol誌に原著論文として採択された。今年度は内膜症性嚢胞のみならず、腺筋症や他部位の内膜症についてもSWIの有用性について知見を得て、北米放射線学会(RSNA 2008, Chicago)および欧州放射線学会(ECR2009, Wien)、日本磁気共鳴医学界大会にて発表を行った。発表の概要として、腺筋症や卵巣以外の部位に発生した内膜症については、従来のシークエンスでは診断が困難なことがあったが、SWIにて繰り返す出血の既往を反映したヘモジデリン沈着を検出することにより診断精度の向上が認められた。 上記の内容を含んだ3テスラ装置の婦人科領域への応用について、3T MRUI研究会において教育講演を行った。
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